そもそもIBMがコンピュータをつくりだした理由のひとつが、ワトスン( IBM初代社長 )の天文好きにありました。IBM社のコンピュータが最初にマジソン・アヴェニューで公開されたとき、そのデモンストレーションは月の満ち欠けに関する計算でした。ところが、やがてビジネス界が、科学上の偉業ではなく、いうなればもっと世俗的な事柄、たとえば給与計算にコンピューターを使い始めます。当時、もっとも開発が進んでいたのがユニバック社でした。
しかしユニバックは、自社の製品が科学の偉業達成ではなく、給与計算に用いられることを嫌います。反対に、天文好きを動機として出発したにもかかわらず、ビジネス界の新時代の需要に応えたのがIBMでした。こういった判断のひとつひとつが、かつて存在した企業(ユニバック)と今日も存在する企業(IBM)の分岐点となっていきます。
関連情報:
◉ 2人のイノベーター vol.1 (ARCHIPELAGOs 00106)
◉ 2人のイノベーター vol.2 (ARCHIPELAGOs 00107)
|