00073 離見の見(世阿弥)
 

室町時代に、能楽の大成者で、世阿弥という人がいました。『風姿花伝』を遺しています。その人が、「離見の見」ということばを使っています。能役者が舞台のうえで謡い舞うとき、夢中になって役に没入し、他の役者や謡い手や楽師の存在、その動き、そして観客の表情などを見失ってはいけない、と戒めています。つまりは、舞台上のじぶんを、もう一人のじぶんが、しっかりと見守っていなければならない、ということです。だからこそ、他の役者の動きに敏感に反応し、臨機応変な演じ方が可能になり、ときに予想以上の出来栄えを見せることができるようになる、というものです。


HOME
ABOUT
IDEA
SERVICE
ARCHIPELAGOs